高齢者社会の眼疾患

日本が長寿国になっていくにつれて高齢者社会となってきました。

以前は「白内障手術など受ける前に、寿命が終わってしまう」と言うような時代もありました。最近では、「視力低下」を訴えて眼科受診される患者さんを診せて頂くと、加齢に伴う白内障だけでなく、緑内障・黄斑変性・眼底出血・網膜前膜などの疾患が見つかることがあります。こうした眼疾患の発見が出来るようになったのは、OCTなどの検査器械の進歩によるところが大きいと思われます。
そして、少し前までは、「そこそこ視力が出ていて日常生活に不自由ないならこのまま様子を見ましょうか」と言うことが多かったのですが。最近では、「患者さんの親や伴侶の介護のために夜間も車の運転をしなければならないので、よく見えないと」と言うような状況も増え、白内障手術と同時に黄斑あるいは網膜の手術のおこなう、ことが多くなっています。これも、手術法の進歩に負うところが多いと思われます。

「日常生活を行う上で、どの程度まで見えれば不自由ないか」と言うのは、人それぞれだと思われますが、ご自分の目の状態を知り、最近の眼科手術ではどこまで治せるか、知っておくのも大事なことかと思います。

高齢者の視機能も保持したい

介護保険認定審査会に出席しています。
加齢に伴い、内科や整形外科などの病気になったり、認知症になったりすることが増えてきて、要介護の対象になるのですが、目の病気のある高齢者も、もちろん多く見られます。

「自分で内科の薬がきちんと服用出来ない」方もありますが、緑内障の目薬を点眼するのを忘れる、と言う患者さんも増えてきています。
この「点眼忘れ」は、緑内障外来でも問題になってきています。
「点眼しているはずだった抗緑内障薬を、実は点眼し忘れて、緑内障が進行する」と言う患者さんも見かけられ、安全な手術治療を選ぶべきではないか、との意見も出て来ています。

「白内障の手術を、いつ受けるべきか」も、尋ねられることが多いのですが、80頃までの心身ともに健康な時期に受けておく方が良いのではないか、と思います。
少しでも体力のある時期の方が術後の経過も良好ですし、良い視力が得られると、情報が脳に入力されやすくなり、認知症を防ぐ効果もあるような気がします。

高齢化社会に向けて、視力も(もちろん聴力も、心身の機能も)良好な状態でお過ごし頂きたいと思います。