いつの間にか、視野が欠けている(緑内障の怖さ)

中年以降の方で

「車を運転していて、横から出て来る車に気がつかなかった」

「最近、よく車を擦ったりぶつけたりすることが増えた」

と言う症状を訴えて来院される患者さんをお見かけします。

「見えてはいるのだけれど」とおっしゃる通り、中心視力は緑内障がかなり進行するまで保たれていることが多いのですが。
眼底検査をすると、視神経乳頭の陥凹の拡大(視神経の中央の窪みが拡大している)を認めます。
OCTの結果では、視神経繊維層の厚みが減少しています。
視野検査をすると、視野が狭くなったり、暗点(見えない部分)があります。
眼科医は、緑内障の治療を開始して、経過観察を続けます。

日本人の平均寿命が延び、90歳100歳と長生きされる方が増えました。
40代~60代で視野欠損が見つかった患者さんも、出来る限り、生活に不自由なく見え続けて頂けたら、と願います。

「何となく見えにくくなってきた」
「目が疲れる」
「目が重い。うっとうしい」
などの症状があれば、早めに眼科を受診されるよう、おすすめします。

目の症状からわかるいろいろな病気  ①痛い

他科の医療機関のスタッフから、「目の症状から身体の病気がわかることはあるか?」と、訊かれました。
今回は、そう言う観点から書いてみました。初回のテーマは「痛み」です。

1..外傷
■症状:目が痛い
■原因:目に異物(ゴミ・鉄粉・木くずなど)が入る。物が当たる。薬品が飛入する。紫外線を浴びる。その結果、結膜や角膜に傷を生じている。
■治療方法:異物は、眼科で除去し、治療します。薬品が入った場合は、出来るだけ速やかに多量の流水で洗眼して、入った薬品を薄めます。その後、傷を治療します。
■予防方法:異物・薬品;紫外線などが目に入るおそれがある場合は、保護眼鏡などを使用する。

2.感染症
■症状:下記原因により対象の部位が痛む
■原因:目イボは、細菌による、まぶたの感染症。
流行性角結膜炎は、アデノウイルスによる感染症。
帯状ヘルペス・角膜ヘルペスなどは、ヘルペスウイルスによる感染症。
■治療方法:抗生物質・抗ヘルペス治療薬・消炎剤など、薬物治療を行ないます。
■予防方法:免疫低下・体力低下を避ける。

3.眼精疲労
■症状:パソコン作業や近見作業を長時間続けた後、目の奥が痛い。
■原因:遠視・乱視等の屈折異常や眼位異常を矯正せず、目に調節負荷をかけている。
■治療方法:屈折検査や眼位の検査を行ない、適切な眼鏡・コンタクトレンズによる矯正をする。斜視の場合は、手術が必要なこともある。
■予防方法:適度な眼鏡やコンタクトレンズを装用しましょう。

4.緑内障
■症状:閉塞隅角緑内障の急性発作の場合は、激しい頭痛・吐き気・胃痛をおこす。(24時間以内に眼圧を下げないと、失明する場合があります)
開放隅角緑内障でも、眼圧が高い場合は、眼痛を生じます。
■原因:隅角(角膜と虹彩の隙間)が狭い、あるいは隅角の「房水を排出するポンプ作用」の働きが不十分。
■治療方法:抗緑内障点眼薬、手術。
■予防方法:早期発見早期治療が重要です!!!

緑内障の急性発作とは

角膜(黒目)と虹彩(茶目)の隙間が、生まれつき狭い人があります。
ストレスや白内障などが引き金となって、その隙間がふさがってしまうと、房水(目の中の水のようなもの)の流れが滞って、眼圧が急激に上昇します。
これが、緑内障の急性発作(原発閉塞隅角緑内障)です。

ほおっておくと、24時間以内に失明してしまうこともあります。
眼痛、頭痛、吐き気などの症状が特徴です。

眼圧を下げて、虹彩切開術などの治療を行います。

最近は、レーザーによる虹彩切開術が、外来で簡単におこなわれるようになりました。

ただ、「起こるかも知れない急性発作に対して予防的におこなうレーザー虹彩切開術」は、水疱性角膜炎などをおこすこともあり、最近、慎重に経過観察をしていけば良いのではないか、とも言われるようになりました。

現在、我が国では、眼科医の数も増え、「目が痛い」などの異常があれば、すぐ眼科を受診できますので、「あなたの目は、緑内障の急性発作を起こすおそれがあります」と言われた方は、定期的に眼科を受診なさることをおすすめします。

正常眼圧緑内障について

最近、人間ドックや職場の検診後の報告書を持って、受診される患者さんが増えています。

眼底写真を撮ってもらったら、「視神経乳頭陥凹の拡大を認めます。緑内障の検査を受けて下さい。」と言われた、とのことです。

視力は良いし、眼圧も正常値(日本人では、10~20mmHgとされています)。

でも、たしかに、眼底を覗くと、視神経の真ん中のくぼみの部分が、広いし、深い。

こう言う場合は、まず正常眼圧緑内障を疑います。

診断の決め手は、視野検査です。

視野検査で、異常なければ、1年に一回程度、経過観察をしていきます。

視野の狭まった部分や、見えない部分(暗点と呼びます)が見つかれば、それ以上進行しないように、まず目薬による治療を開始します。

初期のうちは、自覚症状がないので、視野検査で異常がないかチエックすることが大切です。

「白内障と緑内障は、どう違うのですか?」と言う質問も、よく受けます。

白内障は、目の中の水晶体(レンズ)の濁りによって見にくくなる病気で、現在では、比較的簡単に手術で視力回復が可能です。

ところが、緑内障は、眼圧が高いタイプでも、眼圧がそんなに高くないタイプでも、
視神経がだんだん衰えて、視野の一部が見えなくなりますので、
日常生活する上で、とても不自由な状態になります。

いったん視野欠損をきたすと、回復するのは困難です。

日本人の平均寿命も年々延びてきています。

生命ある限り、出来るだけ良好な視機能を保持して、人生を楽しんで頂きたいと思います。

緑内障は、早期発見・早期治療が決め手です

年々、感染症に効く薬の開発が進み、白内障手術の技術も進歩しています。眼科の病気の概念もずいぶん変わってきました。
日本人の平均寿命は伸びていますので、生命ある限り、良い視機能を保持して頂きたいと思います。

緑内障とは、一般的には、眼圧が高くなって視神経を圧迫した結果、視神経が 障害され、視野が狭くなる病気です。
(眼圧とは、簡単に言うと、目の硬さです。  その硬さがほぼ一定であるために、目は球形に保たれています。)
眼圧が正常でも、視神経の血流が障害されたり、視神経の強度などが関係し たりして、視野が狭くなってくる正常眼圧緑内障もあります。 (「正常眼圧緑内障について」のトピックスを御参照下さい。)

緑内障の自覚症状は、眼圧が急に上がった時には眼痛、頭痛、吐き気などがあ りますが、「何となく目がうっとうしい」くらいの訴えが多いようです。 「見えにくい」「視野が狭い」と言うような自覚症状があった場合は、緑内障 がかなり進行していることがあります。

眼圧検査・眼底検査・視野検査などをおこない、早期に発見することが大切で す。
異常が見つかれば、点眼薬の治療から始めます。
進行具合をチエックしながら、経過観察を続けます。
点眼療法で効きにくい場合は、レーザー治療や、手術治療も考えます。

緑内障は、早期発見・早期治療そして進行を防ぐべく定期検査が大切です。

緑内障の予後

「かかった病気の、医学的な見通し」を予後と言います。

緑内障の場合は、放置しておけば、あるいは治療していても、その治療が効果
的でなければ、どんどん進行して、視力が落ちたり、視野が狭くなったりし
て、見えにくくなります。

緑内障には、原発閉塞隅角緑内障のように急に眼圧が上昇して視神経がダメージを受けるタイプ、原発開放隅角緑内障のように眼圧が高いタイプ、正常眼圧緑内障のように眼圧は高くないが徐々に視神経が死滅していくタイプなど、いろいろなタイプがあります。

その患者さんが、どのタイプの緑内障に罹っているか?
現在、眼圧はコントロールされているか?
視野の狭窄や暗点(見えにくいところ)は、ないか?
視野に異常があったとしたら、その見えにくい部分が、増えていないか?

そして、その患者さんの年齢から計算して、平均寿命まで何年あるかを考慮し
て、現在の眼圧をもっと下げた方が良い、とか、眼圧を下げるためには点眼薬
を変更・追加する、あるいは手術を施行する、とか、治療法を検討しなければ
なりません。

緑内障の治療の目的は、視神経障害の進行を阻止あるいは緩徐にして生涯不便
のない生活が出来るように、患者さんのQOL(qualoty of life)を守ることだ
と言われています